たった四文字のその言葉を、僕はゆっくりと呟いた。

やっぱり、返ってくる言葉はない。

冷蔵庫が鈍い音をたてているだけの暗く冷たい部屋は、

つまりいつもと同じ、僕の部屋だ。


淋しいと感じたことはない。

いや、正確にはもう淋しいとは感じない。

僕の帰りを待つものは、もう此処にはいない。

僕が帰りを伝える相手は、もう此処にはいない。

いつからだったかは、もう忘れた。


『別れは突然』

なんて言うけれど、

なにも全てが突然の別れというわけじゃない。

はっきりと別れてゆくこともある。

ゆっくりと離れてゆくこともある。

はっきりと別れてから、ゆっくりと離れてゆくことだってあるんだ。