たった四文字のその言葉を、僕はゆっくりと呟いた。
やっぱり、返ってくる言葉はない。
冷蔵庫が鈍い音をたてているだけの暗く冷たい部屋は、
つまりいつもと同じ、僕の部屋だ。
淋しいと感じたことはない。
いや、正確にはもう淋しいとは感じない。
僕の帰りを待つものは、もう此処にはいない。
僕が帰りを伝える相手は、もう此処にはいない。
いつからだったかは、もう忘れた。
『別れは突然』
なんて言うけれど、
なにも全てが突然の別れというわけじゃない。
はっきりと別れてゆくこともある。
ゆっくりと離れてゆくこともある。
はっきりと別れてから、ゆっくりと離れてゆくことだってあるんだ。
淀んだ雲の向こうには、
澄んだ青空がある。
澄んだ青空の向こうには、
漆黒の宇宙がある。
漆黒の宇宙の先には、
熱く燃える太陽が輝く。
太陽のその先には
その先には何があるのだろう。
私は知らない。
私は知りたい。
それが私の求めるもの。
それが私の進む理由。
私の前には今
淀んだ雲が広がっている。