空から天使が降ってきた。

天使は人間なんかよりずっと賢く尊いと威張ったが、
僕は天使みたいな悪戯者は嫌いだから、
「さっさと天界へお帰りなさい」
と、追い返した。



今度は女神が降りてきた。

神の使いを無下にするなと怒りに来たが、
僕はそういう高慢で高圧的な態度も嫌いだから、
「ここは人間界です。お帰りください」
と言って帰ってもらった。



そうしているうちにすっかり日は暮れて、

僕はいつものように、晩ご飯の準備をした。

けれども火がつかない。

間もなく電気も消えた。

「今晩は随分と冷え込むのになあ」

どうやら外の天気が原因らしい。



外に出ると、ごうごう雪が降っていた。

道理でこんなに冷え込むわけだと思ったが、
僕は明日早起きして雪かきするのは嫌だから、
「頼むから晴れてくれよ」
と頼んだが、雪はずんずん積もっていった。



困り果てていると、お隣さんがやってきた。

本当は他人にお世話になるなんて嫌だったけれど、
こう寒くてはどうしようもないから、
「ありがとう、申し訳ないね。」
と、一晩お世話になることにした。



ぼうっと外を眺めていると、

「まだまだ降りそうね。」

と、彼女は明るい口調で言った。

「面倒事は嫌いだよ。今の僕の存在も面倒事だけどね。」

と、僕は外を見たまま言った。

「面倒かもしれないけれど私は平気よ?だって、楽しいじゃない。」


僕には彼女の言葉の意味が分からなかった。

どういうことか尋ねようと隣を見ると

彼女もまた僕を見ていた。

彼女の笑顔はちいさく、明るく、温かだった。

僕はその可愛らしい笑顔を見た瞬間に僕の疑問は解決され、

実に馬鹿馬鹿しいことだと気づいた。



一人よりももっと幸せなことがあると気づいた僕は、

毎日がずっとずっと楽しくなり、

世界をもっともっと好きになった。