Sincerely for...

このお話は事実を元にしたフィクションです。 期待は小さく、思い出は大きく。

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日記

06月24日 日曜日
 明日は燃えるゴミの日だから、家にある空き箱を全部潰して千切り、紙くずにした。たぶん一週間分以上はあると思う。だいたい一人暮らしの燃えるゴミなんて大した分量にはならないのだけど、かといって生ゴミの分を考えると毎週出さない訳にはいかないから、こうやってある種ゴミを増やすような行為をしないともったいなくて仕方ない。ゴミ袋だってタダではない。
 排水口に絡まった自分の髪の毛を引き剥がしまとめて捨てる。抜け落ちた髪の毛が、元は自分のものであったにもかかわらず汚く感じるのは、それが排泄物だからに違いない。要らないものは捨てられる。汚れたものは捨てられる。その捨てられたものが臭気を発しながら相変わらず、間違いなく、自分自身であるということを感じる。ここでこのように呼吸しているのも、そこでああして無数の水垢に絡まっている醜いのも、どちらも自分。違いはなんだろう。生きているか、死んでいるか、ということだろうか。
 僕は生きているだろうか。

 厚手のキッチンタオルを二枚つかって、なるべくその触り心地を感じないようにしてそっと摘んだ。風呂の排水口の蓋は昨日の夜のうちから開けておいていたが、排水口に絡まる自分の髪はその奥のほうがまだじっとりと濡れていた。キッチンタオルは厚手だから、その水分は指先までは触れない。しかし確かに感じる、この手のなかの髪の毛から滲み出す水分の感覚。
 気持ち悪い。気持ち悪いのでさっさとゴミ袋にしまう。ゴミ袋の中の、白い不織紙に包まれた「自分自身」の姿を見ている。燃えるゴミ、生ゴミになったもう一方の自分自身。ただ黙って見ている。
 この中にあるのは燃えるゴミだ、生ゴミだ。そして、それはさっきまでそこにあった「自分自身」だ。自分が自分を捨てる。捨てている。捨てざるを得ない。だから捨てる。

 ぬるぬると濡れた排水口や、そこに絡み付いていた抜け毛が気持ち悪いというのではない。この見るからに触るからに気持ちの悪い、臭気を放つ物体が、元は自分の一部で在ったという事――でもない。本当に気持ちが悪いのは、「これ」が自分であり、必然、自分も、この、今のこの体も、「これ」になるのだ、なってしまうのだ、という事実。逃れようのない事実。
 何かを、殺さずには。何かの命を奪わずには生きてゆくことは出来ない。――そんなわかりきったことを――。奪った残りの命は。命だったものは。
 生ゴミ。そうだ。命の最終到達点は生ゴミ。
 僕は自分の体が生ゴミになるのを感じるのが苦痛だ。いつまで経っても気持ち悪くてたまらない。見なければ済むものを、と言うのは簡単だ。だた言うだけのことはあまりにも簡単すぎて、それは暴力に違いない。暴力は伝染するという。自分にできないことすら、人は簡単に言ってしまう。誰に? 自分に。

 誰かを騙すことを簡単だとは思わない。自分を騙すことだって難しいのに。だけどそれすら勘違いかもしれない。自分は正直者だ。自分を押し殺してなどいない。自分は自分を騙せるほど器用じゃない。そうやって自分の清らかさを信用して、信用しきって、それだけを頼りに、無垢に生きているのかもしれない。自分を人間だと純粋に確信することは、すばらしい。
 髪が抜け、垢を摺り、糞をして、こうして毎日、自分の体が生ゴミになってゆくのを感じる。さっきまで確かに自分だったものが、ほらこうして目の前に、触るのも汚らわしいほどの生ゴミになっている。オンナノヒトはこんなことを毎月、それも相当の苦痛を伴って処理しているのだと思うと、想像するだけで死にたくなる。

 
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読んだ。




 嘘ですまだ読んでる途中です舞城王太郎の『みんな元気。』。

 とりあえず第一編『みんな元気。』は読んだ。
 薄っぺらくいえば、並行世界で可能性で選択可能で交換可能なんだから物語内での時間軸だって一筋である必要はないでしょ。だけどそもそも選択可能な選択肢なんていくらでもどうにでもなるよね。
 そんな感じ。

 読みながらぼんやり思ったのは国籍の話。
 家族は選べないし選ぶもんでもないだろう。たぶん。
 それってなんか国籍と似てない? 生まれるときに「おれ、こっちがいいっす」とか言って選ぶわけにはいかない割に、上手いことやると「日本代表!」とかいって持ち上げられるし周りの人間も何の疑いもなくただ国籍が一緒なだけの手の温度も知らない赤の他人をあっさり心から応援したりする。それでいてそいつが悪さしたらく「国の恥」なわけだ。
 一緒です。自分じゃ選べないです。
 でも、それを「選んじゃ駄目」っていうのはどうなんだろう。ホントにそうなの? そうかもね。いや、そうなんだと思うよ。
 ただ知っているべき。いろんな物を、事を。

 よく分からないです。
 何がよく分からないって、僕はSF畑の人間じゃないからこれを「並行世界モノ」と呼んでいいのかどうかも分からないし、法律に関しては土下座しながらビール飲めっていうくらいの無知だし、文芸も文学も知らないし、そもそも舞城王太郎の著書だって半分も読んでないから、もう「なにも知らない」って言ってもいいんじゃないかっていうくらいによく分かってない。(そして恥ずかしい告白をするとラストの父ちゃんは一体なんだったのかさっぱり分かっていない)
 この辺はたぶん舞城王太郎の評論とかをもっと読めばいろいろと分かってくるんだろうけど、正直そんな気分じゃない。読了後の余韻に浸りたいとかそういうんじゃなくて単純に疲れているからです。
 こういうのの解釈とか、そんな大層なもんじゃなくても読書感想でもいいからいろんな意見を聞きたい! そういう友達が欲しい! でもまわりに居ないんだよなぁ、舞城ファンの友人……って書こうと思ったがそもそも俺に友達なんかいたっけ? という反証不可能な命題が浮上するが疲れているので華麗にスルー。そしてこのエントリも華麗にスルー。スルー・ザ・ルッキング・グラス。

 ……こういうこと書いて「オレちょっと舞城っぽくね?」とかニヤニヤ他人の目を気にしながら自慰行為に耽るガキは嫌いです。



 以上、華麗なるコピペ日記でした。

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