Sincerely for...

このお話は事実を元にしたフィクションです。 期待は小さく、思い出は大きく。

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かんばせいしょん・ぽえじー


「すきだよ」
「そう。誰が?」
「きみのことが」
「ふうん。なぜ?」
「さて、なんでだろうね」
「あらそう? 残念だわ」
「ざんねん、っていうのは……」
「答えられたら付き合ってあげる」

「ふうん。なぜ?」
「こころにりゆうなんていらないさ」
「それで、どうしたいの?」
「そうだね、つきあおうか」
「それで?」
「それ、で?」
「付き合ってどうするの?」
「どう、したいのかなあ……」
「惜しいわね。でも残念だわ」

「それで?」
「それで、ねえ……」
「付き合ってどうするの?」
「たのしいことは、いっしょにかんがえていけるよ」
「ま、ナシではないわね」
「じゃあ、つきあおうよ」
「あなたは私が欲しくて付き合うのね、じゃあ私はあなたから何を得られるのかしら?」

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カテゴリ: とちゅう  おはなし 

空からやってきたのは、




空から天使が降ってきた。

天使は人間なんかよりずっと賢く尊いと威張ったが、
僕は天使みたいな悪戯者は嫌いだから、
「さっさと天界へお帰りなさい」
と、追い返した。



今度は女神が降りてきた。

神の使いを無下にするなと怒りに来たが、
僕はそういう高慢で高圧的な態度も嫌いだから、
「ここは人間界です。お帰りください」
と言って帰ってもらった。



そうしているうちにすっかり日は暮れて、

僕はいつものように、晩ご飯の準備をした。

けれども火がつかない。

間もなく電気も消えた。

「今晩は随分と冷え込むのになあ」

どうやら外の天気が原因らしい。



外に出ると、ごうごう雪が降っていた。

道理でこんなに冷え込むわけだと思ったが、
僕は明日早起きして雪かきするのは嫌だから、
「頼むから晴れてくれよ」
と頼んだが、雪はずんずん積もっていった。



困り果てていると、お隣さんがやってきた。

本当は他人にお世話になるなんて嫌だったけれど、
こう寒くてはどうしようもないから、
「ありがとう、申し訳ないね。」
と、一晩お世話になることにした。



ぼうっと外を眺めていると、

「まだまだ降りそうね。」

と、彼女は明るい口調で言った。

「面倒事は嫌いだよ。今の僕の存在も面倒事だけどね。」

と、僕は外を見たまま言った。

「面倒かもしれないけれど私は平気よ?だって、楽しいじゃない。」


僕には彼女の言葉の意味が分からなかった。

どういうことか尋ねようと隣を見ると

彼女もまた僕を見ていた。

彼女の笑顔はちいさく、明るく、温かだった。

僕はその可愛らしい笑顔を見た瞬間に僕の疑問は解決され、

実に馬鹿馬鹿しいことだと気づいた。



一人よりももっと幸せなことがあると気づいた僕は、

毎日がずっとずっと楽しくなり、

世界をもっともっと好きになった。





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カテゴリ: こころ